アンスリューム属は熱帯アメリカから西インド諸島に分布し、その原種は550~600種と言われる。その原種の多様性が、切り花や、鉢花で「花」の観賞を目的とした種間交雑が行われている。多様な原種は、観葉植物として葉を観賞する為の品種改良にも、注目されていく事は間違いないと思う。
観葉植物としてみた場合の、アンスリュームは、非常に扱いやすく、丈夫な点だと思う。
鉢花のアンスリュームの株を何年も枯らさずに育てている人は意外に多いと思う。しかし、ある程度日当たりが良く、株が充実していなくては、花が次から次へと上がる事はない。
アンスリュームの成熟した株は、シクラメンなどと同じで、葉、1枚に対して花一輪である。すなわち、成長点で葉芽と花芽が交互に形成される。したがって、一株の成長点2本以上の花が見られるのは、最初の花が終焉する前に次の花が上がって来る必要がある。花屋などで見かける、一鉢で沢山の花をつけたアンスリュームを生産するには、先の花が次の花を待ってる状態を維持する必要がある。すなわち沢山の株(成長点)があるか、花持ちが良い、または生育が早い、のいずれかになる。
しかし、観葉系であれば、花はあまり重要視されないので、その制約から解放される。そうした場合、観葉植物としての鑑賞価値は、室内装飾として、耐寒性、耐陰性があり、株の変化に富むアンスリュームは、デフェンバキアやフィロデンドロン、アグラオネマなどに引けを取らない、観葉植物であると言える。
アンスリューム フーケリー ウェイビーリーフ A.hookeri Wavy leaf
観葉系のアンスリュームでフーケリー種は代表的な種となる。ウェイビーリーフは、中でも比較的古い品種である。肉厚の固い葉の割には生育はさほど遅くない。
アンスリューム フーケリー ホワイトダイヤモンド A.hookeri White Diamond
アンスリューム フーケリー ハイブリッド Anthurium hookeri Hybrid
フーケリー種は原種の中では比較的成長が早い。また、変異種同志の交配で新たな変異種が発生する確率が高まる。
白斑は日焼けしやすくあまり実用性は無い
アンスリューム フーケリー ライム Anthurium hookeri Lime
A.ブラックパール Anthurium Black Pearl
フーケリー系のハイブリッド 通常は新葉が銅葉や赤い色素をもって発生し徐々にグリーンに変化する品種が多いが、この種はライム葉で発生し、濃い銅葉に変化する
A.ブラック ドラゴン Anthurium Black Dragon
A.レッド ドラゴン Anthurium Red Dragon
アンスリューム ジェンマニー A.jenmanii
アンスリューム ジェンマニー バリエガータ A.jenmanii variegata
アンスリューム ジェンマニー キングコブラ A.jenmanii King Cobra
アンスリューム キングオブキングス Anthurium King of Kings
フーケリー種に比べジェンマニー種はかなり生育が遅い。キングオブキングスは、実生苗から開花株サイズ(写真のサイズ)になるまでに5年以上かかるらしい。生育が遅い事はほぼイコール増殖率が低いと言うことになる。増殖率はその個体の価格に直結する。そうした場合、同じハイブリッド種でも、フーケリー種の方が営利生産に向く品種と言える。
これら以外にもアンスリューム属で観葉植物として生産されている品種は沢山あるので、また、機会を見て紹介していきます。