前回に引き続き熱帯と化す、日本の夏で楽しめる観葉植物を紹介して行きたいと思います。
ファグラエア ベルテロアナ ヴァリエガータ Fagraea berteroana variegata
リンドウ科(マチン科)の花木でハワイなどでレイに用いられる白い花で、香りのあるプアケニケニ(pua keni keni Fagraea berteriana)の斑入り種だと思うのだが、調べてみるとベルテロアナ(berteroana)種と、ベルテリアナ(berteriana)種と両方表記されており、違いがはっきりしない。いずれにせよ、本来は黄色味を帯びた白い花と香りを楽しむ植物だが、本種は肉厚で艶のある葉と鮮やかな斑、また節の詰まった木姿が鉢物に向き、近年観葉植物として注目されてきている。
コルデリーネ ターミナリス Cordyline terminalis
ターミナリス種は濃い赤褐色からの色幅が豊かに変化しコレクターも多い植物で特に中米コスタリカに多くのブリーダーがいるらしい。また最近は葉の色だけではなく扇型に葉が映えるタイプやホソバの矮性種でタコ足と呼ばれるタイプも人気が高い。
コルディリネ(コルデライン)属は和名をセンネンボクと言いよくドラセナ(Dracaena)属と混同される。ドラセナの和名もセンネンボクと言う。ハワイ諸島などで昔、漁師が漁の安全を願い漁船の舳先に縛り付けた植物が、コルディライン ターミナリス ティ (C.terminalis ti)なのだが、一般的にはドラセナ ティで伝わり、この逸話からドラセナが「幸福の木」と呼ばれるようになったらしい。(諸説ある中の一つだが)ドラセナとコルディリネの区別は地下茎の有無である。ドラセナは地下茎が無いが、コルディリネは、地下茎があり、そこから新芽が出る。自宅の鉢植えの「幸福の木」の根元から新芽が吹けば、それは、コルディリネ属の「幸福の木」である。
コルディリネ属はオーストラリス(australis)種やインジヴィサ(indivisa)など日本の関東以西の平野部で十分に越冬する種も多い、ストリクタ(stricta)種も比較的耐寒性が強く、霜さえ注意すれば愛知県あたりでも越冬する。
コルディリネ ストレクタ グラウカ ピンク Cordyline stricta grauca Pink
ストリクタ種で珍しく赤斑が挿す品種で、愛知の我が家の庭で、ぎりぎり越冬した。
クロトン Codiaeum variegatum
トウダイグサ科に分類されるコデアエウム属和名をクロトンノキと言う。
すこし脱線する。クロトンは何語なのだろう、学名はCodiaeumなのでクロトンとは読めない。そもそも和名が「クロトンノキ」と ~の木 と付く以上文法的にその前は日本語に限らずとも「ハンカチノキ」の様にわかりやすい「物の名前・名詞」が入る。
沖縄では垣根や庭木などでもよく用いられる植物で、クロトンは「変葉木」と呼ばれているようだ。これは、次々に変異が起こる事からそのように呼ばれているとか、植木交換会などでもよく珍品が、出品されている。戦前の話らしいが、沖縄ではクロトンのブームが起こり、珍しい品種には家一軒分の値段で取引されたとか?19世紀のオランダのチューリップの球根や本土では昭和30年代の観棕竹(観音・棕櫚竹)の珍品奇品種が家一軒の値段に例えられている。時空を超えて、園芸世界の人は家一軒の値段が投資の最大金額らしい